ココロといっぱい #3「クッキングココロ(その2)」
ココロSSの第3話です。
今回は前回に引き続き料理編です。
今回は前回に引き続き料理編です。
1人前のブログ妖精を目指して勉強に励むココロ。彼女は同様に料理の学習に対しても熱心になっていた。
その様子を見て、シンも笑みをこぼしていた。
(ココロちゃん、頑張ってるみたいだね・・あの失敗がけっこう効いたのかな・・)
前回の失敗作をココロに食べさせたことを思い返すシン。
何度も失敗を重ね、試行錯誤を繰り返していくココロ。そしてついに、ようやくきちんと成功させた料理を作り出した。
「やったー♪シンさん、やりましたー♪」
完成した料理を手にして、ココロが大喜びする。その様子を見て、シンも笑みをこぼす。
「よかったね、ココロちゃん。それでどういうメニューなのかな?」
「はい。今回はクラブハウスサンドというものを作ってみました。」
シンの声にココロが笑顔で答えると、クラブハウスサンドを盛った皿をテーブルに置いた。
見た目はきちんとしたクラブハウスサンドであり、申し分がなかった。
「見た目はバッチリ。味のほうはどうなのかな?」
シンが呟きながら、サンドのひとつを口に運んだ。
「うんうん・・触感はいい感じ・・味がちょっと独特だなぁ・・・ココロちゃん、中には何を挟んだのかな?」
「中身はアリです♪」
ココロが笑顔のままで口にしたこの言葉を耳にして、シンがたまらず吹き出した。
「あああ、ありって・・あの昆虫の蟻・・・!?」
「はい。そのアリですが・・・」
「な、な、な、何でそんなものが入ってるんだ!?」
ココロの言葉にシンが声を荒げる。アリは当然食べ物ではない。煮ても焼いても食えない。
「ココロちゃん、アリなんて誰も食べない!食べられたもんじゃない!」
「えっ!?そうなのですか!?ブログ妖精界の食材のひとつでしたので、人間界でも使われているものかと・・」
「はっ!?アリが食材!?どこの世界にアリを常食としているところがあるんだよ!?」
「本当ですよ!これ、ブログ妖精界の食文化についての記事です!」
信じられないでいるシンに、ココロが日記に挟んでいた新聞の記事と写真を見せた。それは妖精たちがアリや蛾、ドラゴンを食しているものだった。
「そ、そ、そそそそ、そんなバカな・・!?」
その記事にシンは眼を疑った。それはファンタジーにありがちな妖精たちの、その要素のかけらも見られない残酷な行為を行っていた。
「しししし、信じられない・・こんなアグレッシブな妖精が実在していたなんて・・そもそも妖精そのものが実在している時点で驚くところなんだけど・・」
「おいしいですよ。おいしいですからみんな食べているんですよ♪」
困惑するシンに、ココロが笑顔を保ったまま答える。
「おかしい・・おかしいって・・仮にそれが事実だとしても、人間はそんなもの絶対食べないから・・」
「そうだったのですか・・ココロ、まだまだ勉強不足ですね・・」
ひたすら抗議の声を上げるシンに、ココロはようやく自分の至らなさを自覚した。
「よーし!こうなったら、僕がココロちゃんにテクニックを伝授してあげよう!」
思い立ったシンの言葉。1人暮らしを続けていた彼は、人並みに料理ができていた。
「あんまり自信持ってうまいとはいえないけど、それなりにできるようにしてみせるよ。」
「そ、そんな!?困ります!シンさんに迷惑をかけてしまいます!」
ココロがシンに対して弁解を入れる。
(もう散々迷惑をかけられてるんだけど・・・)
不安の言葉を思いつきながら、シンはそれを口から出そうとしなかった。
「ココロちゃんが僕を思うならこそだよ。いつも一生懸命に頑張ってるんだから、そこにちょっとコツを入れれば1流シェフにだってなれちゃうかも。」
「1流シェフ・・・ココロ、頑張ります!」
シンに励まされて、ココロが意気込みを見せる。おだてるのは苦手だとシンは思っていたが、ココロは“おだてられる”のが得意だった。
次の日から、シンがココロに送る調理実習が始まるのだった。だがいつものシンの態度から一変し、実習はスパルタと化した。
「ほら!調味料の量と火加減はコンマの差で出来具合を大きく変えるんだ!だから常に気を緩めない!」
「は、はいっ!」
シンの厳しい指導を受けて、ココロが返事をする。
「はい!そこでしっかり味見する!気分で作ると味が一気に豹変するぞ!」
「はいっ!」
「包丁を使うときは集中、集中!でないとまた指を切るぞ!」
「う~~~・・・」
「コラ!そんなものを入れるんじゃない!煮ても焼いても食えないじゃないか!」
「ごめんなさ~い!」
シンの叱咤にココロは涙目を浮かべるばかりだった。
この長い悪戦苦闘の末、ココロはようやく料理を完成させた。作ったのは定番メニューのカレーである。
「すごいですー!自分でもビックリですー!」
「僕も正直驚いたよ・・ここまで成長したココロちゃんも、そのココロちゃんをここまで成長させた僕自身も・・」
歓喜を見せるココロと、驚きのあまりに唖然となるシン。
「ちゃんと味見もしましたし、人間界の食材のみを使いましたし、もう言うことないですね♪」
「それじゃ、一緒に食べようか。ココロちゃんの自信作を。」
シンに言いかけられて、ココロが大きく頷く。2人は自分たちで作り上げたカレーを食すことにした。
「うん!おいしい!これならいけるよ!」
「ココロもおいしいですー♪」
シンとココロがカレーの美味しさを賞賛する。
「この調子でどんどんうまくなってほしいな。」
「任せてください!ココロ、この調子でどんどんうまくなって、シンさんにご奉仕させていただきます♪」
シンの言葉にココロが頷く。これで彼女が上達していってくれる。彼はそう思っていた。
だが、シンの信頼はものの見事に打ち砕かれた。
翌日のココロの料理はまたしても失敗続きのものとなってしまった。しかも時折アリや蛾を混ぜてきており、これまでの反省がまるでされていなかった。
だが失敗ばかりというわけではなかった。ココロは稀に成功したものを作ってみせる。シンと作ったカレーも、わずかばかりの成功率がそのときに出ただけの話である。
「ま、こういうのも悪くないかな・・・」
だがこういったことを屈託のないものと思って、シンは笑みをこぼしていた。
「シンさ~ん、また指切っちゃいました~・・」
指をくわえて涙を浮かべるココロを見て、シンは苦笑いを浮かべるばかりだった。
その様子を見て、シンも笑みをこぼしていた。
(ココロちゃん、頑張ってるみたいだね・・あの失敗がけっこう効いたのかな・・)
前回の失敗作をココロに食べさせたことを思い返すシン。
何度も失敗を重ね、試行錯誤を繰り返していくココロ。そしてついに、ようやくきちんと成功させた料理を作り出した。
「やったー♪シンさん、やりましたー♪」
完成した料理を手にして、ココロが大喜びする。その様子を見て、シンも笑みをこぼす。
「よかったね、ココロちゃん。それでどういうメニューなのかな?」
「はい。今回はクラブハウスサンドというものを作ってみました。」
シンの声にココロが笑顔で答えると、クラブハウスサンドを盛った皿をテーブルに置いた。
見た目はきちんとしたクラブハウスサンドであり、申し分がなかった。
「見た目はバッチリ。味のほうはどうなのかな?」
シンが呟きながら、サンドのひとつを口に運んだ。
「うんうん・・触感はいい感じ・・味がちょっと独特だなぁ・・・ココロちゃん、中には何を挟んだのかな?」
「中身はアリです♪」
ココロが笑顔のままで口にしたこの言葉を耳にして、シンがたまらず吹き出した。
「あああ、ありって・・あの昆虫の蟻・・・!?」
「はい。そのアリですが・・・」
「な、な、な、何でそんなものが入ってるんだ!?」
ココロの言葉にシンが声を荒げる。アリは当然食べ物ではない。煮ても焼いても食えない。
「ココロちゃん、アリなんて誰も食べない!食べられたもんじゃない!」
「えっ!?そうなのですか!?ブログ妖精界の食材のひとつでしたので、人間界でも使われているものかと・・」
「はっ!?アリが食材!?どこの世界にアリを常食としているところがあるんだよ!?」
「本当ですよ!これ、ブログ妖精界の食文化についての記事です!」
信じられないでいるシンに、ココロが日記に挟んでいた新聞の記事と写真を見せた。それは妖精たちがアリや蛾、ドラゴンを食しているものだった。
「そ、そ、そそそそ、そんなバカな・・!?」
その記事にシンは眼を疑った。それはファンタジーにありがちな妖精たちの、その要素のかけらも見られない残酷な行為を行っていた。
「しししし、信じられない・・こんなアグレッシブな妖精が実在していたなんて・・そもそも妖精そのものが実在している時点で驚くところなんだけど・・」
「おいしいですよ。おいしいですからみんな食べているんですよ♪」
困惑するシンに、ココロが笑顔を保ったまま答える。
「おかしい・・おかしいって・・仮にそれが事実だとしても、人間はそんなもの絶対食べないから・・」
「そうだったのですか・・ココロ、まだまだ勉強不足ですね・・」
ひたすら抗議の声を上げるシンに、ココロはようやく自分の至らなさを自覚した。
「よーし!こうなったら、僕がココロちゃんにテクニックを伝授してあげよう!」
思い立ったシンの言葉。1人暮らしを続けていた彼は、人並みに料理ができていた。
「あんまり自信持ってうまいとはいえないけど、それなりにできるようにしてみせるよ。」
「そ、そんな!?困ります!シンさんに迷惑をかけてしまいます!」
ココロがシンに対して弁解を入れる。
(もう散々迷惑をかけられてるんだけど・・・)
不安の言葉を思いつきながら、シンはそれを口から出そうとしなかった。
「ココロちゃんが僕を思うならこそだよ。いつも一生懸命に頑張ってるんだから、そこにちょっとコツを入れれば1流シェフにだってなれちゃうかも。」
「1流シェフ・・・ココロ、頑張ります!」
シンに励まされて、ココロが意気込みを見せる。おだてるのは苦手だとシンは思っていたが、ココロは“おだてられる”のが得意だった。
次の日から、シンがココロに送る調理実習が始まるのだった。だがいつものシンの態度から一変し、実習はスパルタと化した。
「ほら!調味料の量と火加減はコンマの差で出来具合を大きく変えるんだ!だから常に気を緩めない!」
「は、はいっ!」
シンの厳しい指導を受けて、ココロが返事をする。
「はい!そこでしっかり味見する!気分で作ると味が一気に豹変するぞ!」
「はいっ!」
「包丁を使うときは集中、集中!でないとまた指を切るぞ!」
「う~~~・・・」
「コラ!そんなものを入れるんじゃない!煮ても焼いても食えないじゃないか!」
「ごめんなさ~い!」
シンの叱咤にココロは涙目を浮かべるばかりだった。
この長い悪戦苦闘の末、ココロはようやく料理を完成させた。作ったのは定番メニューのカレーである。
「すごいですー!自分でもビックリですー!」
「僕も正直驚いたよ・・ここまで成長したココロちゃんも、そのココロちゃんをここまで成長させた僕自身も・・」
歓喜を見せるココロと、驚きのあまりに唖然となるシン。
「ちゃんと味見もしましたし、人間界の食材のみを使いましたし、もう言うことないですね♪」
「それじゃ、一緒に食べようか。ココロちゃんの自信作を。」
シンに言いかけられて、ココロが大きく頷く。2人は自分たちで作り上げたカレーを食すことにした。
「うん!おいしい!これならいけるよ!」
「ココロもおいしいですー♪」
シンとココロがカレーの美味しさを賞賛する。
「この調子でどんどんうまくなってほしいな。」
「任せてください!ココロ、この調子でどんどんうまくなって、シンさんにご奉仕させていただきます♪」
シンの言葉にココロが頷く。これで彼女が上達していってくれる。彼はそう思っていた。
だが、シンの信頼はものの見事に打ち砕かれた。
翌日のココロの料理はまたしても失敗続きのものとなってしまった。しかも時折アリや蛾を混ぜてきており、これまでの反省がまるでされていなかった。
だが失敗ばかりというわけではなかった。ココロは稀に成功したものを作ってみせる。シンと作ったカレーも、わずかばかりの成功率がそのときに出ただけの話である。
「ま、こういうのも悪くないかな・・・」
だがこういったことを屈託のないものと思って、シンは笑みをこぼしていた。
「シンさ~ん、また指切っちゃいました~・・」
指をくわえて涙を浮かべるココロを見て、シンは苦笑いを浮かべるばかりだった。
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稀に成功するのもココロの魅力なのかも知れません。