ココロといっぱい #19「お祭りココロ」
ココロSSの第19話。
今回は秋祭りです。
今回は秋祭りです。
この日は街の秋祭り。通りでは屋台が多数並び、たくさんの人でにぎわっていた。
そのお祭にココロとシンも来ていた。立ち並ぶ屋台を見回して、ココロは喜びをあらわにしていた。
「うわあっ♪こんなにお店がいっぱいですー♪」
「僕もお祭に行くのは久しぶりだからね。大きく羽を伸ばして楽しむことにしよう。」
シンも祭の雰囲気を感じながら、大きく背伸びをする。
「シンさん、お店を回ってもいいですか?」
「それは別に許可を取ることでもないでしょう。でも、迷子にならないようにね。」
「大丈夫です♪ココロ、必ずシンさんのところに帰ってきます♪」
ココロはシンに答えると、上機嫌に駆け出していった。シンも彼女を追いかけていった。
金魚すくいや三角くじなど、有意義に楽しめるものもあったが、ココロが立ち寄ったのはチョコバナナやたこ焼き、わたあめやあんず飴など、食べ物の屋台ばかりだった。
「ココロちゃん・・・ここでも食べ物ばかり・・・」
「人間界のお祭には、美味しい食べ物がたくさんありますね♪・・あっ!このフランクフルトも美味しそうです♪」
呆れるシンをよそに、ココロは次の食べ物を求めて駆け出していった。
それからも、ココロは数多くの食べ物の屋台を回っていた。食べ物ばかり食べ歩く彼女に、シンはかける言葉を失っていた。
「毎日がお祭になってほしいですー♪そうすればココロは幸せですー♪」
「やれやれ、相変わらず食べ物ばかりに手を出してるねぇ、ココロ。」
有頂天になっているココロが、突然声をかけられる。彼女が振り返った先には、浴衣姿のむーちゃんが立っていた。
「あっ!むーちゃん!・・その格好・・・」
「フフフフ。どう、ココロ?このあたしのお手製の着物よ。たまにはこういう和風を楽しむのも悪くないと思ってね・・」
声を上げるココロに、むーちゃんが自分の着物について自慢げに語りだす。
「やったー♪これからむーちゃんと一緒にお店巡りができますー♪」
しかしココロは着物のことなど眼中になく、その態度にむーちゃんが不満を浮かべる。
「悪いけど、あたしはこれでも忙しいの。だからココロと遊んでる暇もないの。それじゃあね、ココロ。」
むーちゃんはココロを邪険にする振る舞いを見せると、悠然とこの場から立ち去っていった。
「むーちゃん・・・」
「相変わらずだね、むーちゃんも・・・」
当惑するココロと、苦笑いを見せるシン。
「あんまりむーちゃんを連れ出したら悪いよ。今日は僕たちだけで楽しもう。」
「シンさん・・・そうですね♪行きましょう、シンさん♪」
シンの呼びかけを受けて、ココロが笑顔で頷く。2人は改めて、お祭の屋台巡りに繰り出すのだった。
ひと通りの食べ物の屋台を回っていたココロは、シンとともに金魚すくいにチャレンジしていた。
ところがココロもシンもうまく金魚をすくうことができず、肩を落としていた。
「うぅ・・うまくすくえないです・・・」
「何かでコツの話はしてたんだけど・・理屈じゃない・・・」
困り顔を浮かべてもうまくなるわけでもなく、結局シンたちは金魚をすくうことができなかった。
それからココロとシンが訪れたのは的当て。おもちゃの鉄砲で商品を撃って倒せば、その商品がもらえるというものである。
「シンさん、おもしろそうです♪やってみたいですー♪」
「的当てかぁ・・昔はよくやってたなぁ・・・腕、鈍ってなければいいんだけど・・・」
喜びを見せるココロと、苦笑いを浮かべるシン。
「ココロから先にやってもいいでしょうか?」
「それはいいけど・・大丈夫、ココロちゃん?」
「分かりませんが・・やってみます・・」
シンの心配を背にして、ココロが鉄砲を手にする。
「あの猫さんのぬいぐるみを狙います・・猫さんを撃つのは気が進みませんが・・ゲットするためです。許してください・・」
申し訳なさそうな面持ちで呟くと、ココロは鉄砲を構えてぬいぐるみを狙う。引き金を引いて、弾を発射する。
だがうまく狙いを定めることができず、ココロの撃った弾はぬいぐるみの横や上を飛んでいくばかりだった。
「うぅ・・当たらないです・・・」
気落ちしながらも、ココロはさらに鉄砲を撃っていく。コツをつかんできたことで、彼女の撃つ球は徐々にぬいぐるみに迫ってきていた。
「もう少しです・・もう少しで猫さんに・・・!」
さらに集中するココロ。彼女が撃った弾が、ついにぬいぐるみに命中した。
「やった♪」
これでぬいぐるみが手に入ると、ココロは喜びを見せる。だがぬいぐるみは少し揺れただけで倒れることはなかった。
「あれ!?何で倒れないんですか!?」
驚きの声を上げるココロが、さらに鉄砲を撃つ。もう1発命中したが、それでもぬいぐるみは倒れない。
たまりかねたココロが、もうひとつ鉄砲を手にして同時に弾を撃つ。2発同時に当たっても、ぬいぐるみは倒れない。
「ぅぅぅぅ・・・もうっ!こうなったら!」
起こったココロが帽子に仕込んだドリルを使おうとする。
「あああ!!!ダメだああぁぁぁーーー!!!」
シンがココロに向けてとっさに、脳天直撃シンチョップを繰り出す。その一撃でドリルごと叩き伏せられたココロが、倒れて動けなくなる。
「すみません!すみません!本当に申し訳ありません!」
屋台のおじさんにひたすら謝るシン。痛恨の一撃を受けたココロは、しばらく起き上がることができず突っ伏したままだった。
それからココロとシンは神社に足を運び、お参りをしていた。
(これからも充実した大学生活を送れますように・・・)
お参りを済ませて眼を開けるシン。だがココロはまだお参りを続けていた。
(1人前のブログ妖精になれますように。料理がうまくなりますように。水泳がうまくなりますように。空が飛べるようになれますように。もっともっとメロンソーダが飲めますように。それからそれから・・)
「ちょっと、ココロちゃん・・・?」
シンに声をかけられて、ココロが我に返る。
「あの、シンさん・・ココロ、まだ終わっていないです・・」
「ココロちゃん・・そんなに願掛けしても全部は叶わないって・・」
言いかけるココロに困り顔を見せるシン。
「そうなんですか・・・ですがココロ、これだけは叶えてほしいと思っています・・」
「えっ?それは何かな?」
「それは・・いえないです・・・」
訊ねるシンに対し、ココロが頬を赤らめてはぐらかす。
(シンさんといつまでも一緒にいられますように・・・恥ずかしくて、とてもシンさんのまえでは言えません・・・)
心の中で自分の願いを口にするココロ。その願いをシンに直接伝えられるのは、いつになることやら。
そのお祭にココロとシンも来ていた。立ち並ぶ屋台を見回して、ココロは喜びをあらわにしていた。
「うわあっ♪こんなにお店がいっぱいですー♪」
「僕もお祭に行くのは久しぶりだからね。大きく羽を伸ばして楽しむことにしよう。」
シンも祭の雰囲気を感じながら、大きく背伸びをする。
「シンさん、お店を回ってもいいですか?」
「それは別に許可を取ることでもないでしょう。でも、迷子にならないようにね。」
「大丈夫です♪ココロ、必ずシンさんのところに帰ってきます♪」
ココロはシンに答えると、上機嫌に駆け出していった。シンも彼女を追いかけていった。
金魚すくいや三角くじなど、有意義に楽しめるものもあったが、ココロが立ち寄ったのはチョコバナナやたこ焼き、わたあめやあんず飴など、食べ物の屋台ばかりだった。
「ココロちゃん・・・ここでも食べ物ばかり・・・」
「人間界のお祭には、美味しい食べ物がたくさんありますね♪・・あっ!このフランクフルトも美味しそうです♪」
呆れるシンをよそに、ココロは次の食べ物を求めて駆け出していった。
それからも、ココロは数多くの食べ物の屋台を回っていた。食べ物ばかり食べ歩く彼女に、シンはかける言葉を失っていた。
「毎日がお祭になってほしいですー♪そうすればココロは幸せですー♪」
「やれやれ、相変わらず食べ物ばかりに手を出してるねぇ、ココロ。」
有頂天になっているココロが、突然声をかけられる。彼女が振り返った先には、浴衣姿のむーちゃんが立っていた。
「あっ!むーちゃん!・・その格好・・・」
「フフフフ。どう、ココロ?このあたしのお手製の着物よ。たまにはこういう和風を楽しむのも悪くないと思ってね・・」
声を上げるココロに、むーちゃんが自分の着物について自慢げに語りだす。
「やったー♪これからむーちゃんと一緒にお店巡りができますー♪」
しかしココロは着物のことなど眼中になく、その態度にむーちゃんが不満を浮かべる。
「悪いけど、あたしはこれでも忙しいの。だからココロと遊んでる暇もないの。それじゃあね、ココロ。」
むーちゃんはココロを邪険にする振る舞いを見せると、悠然とこの場から立ち去っていった。
「むーちゃん・・・」
「相変わらずだね、むーちゃんも・・・」
当惑するココロと、苦笑いを見せるシン。
「あんまりむーちゃんを連れ出したら悪いよ。今日は僕たちだけで楽しもう。」
「シンさん・・・そうですね♪行きましょう、シンさん♪」
シンの呼びかけを受けて、ココロが笑顔で頷く。2人は改めて、お祭の屋台巡りに繰り出すのだった。
ひと通りの食べ物の屋台を回っていたココロは、シンとともに金魚すくいにチャレンジしていた。
ところがココロもシンもうまく金魚をすくうことができず、肩を落としていた。
「うぅ・・うまくすくえないです・・・」
「何かでコツの話はしてたんだけど・・理屈じゃない・・・」
困り顔を浮かべてもうまくなるわけでもなく、結局シンたちは金魚をすくうことができなかった。
それからココロとシンが訪れたのは的当て。おもちゃの鉄砲で商品を撃って倒せば、その商品がもらえるというものである。
「シンさん、おもしろそうです♪やってみたいですー♪」
「的当てかぁ・・昔はよくやってたなぁ・・・腕、鈍ってなければいいんだけど・・・」
喜びを見せるココロと、苦笑いを浮かべるシン。
「ココロから先にやってもいいでしょうか?」
「それはいいけど・・大丈夫、ココロちゃん?」
「分かりませんが・・やってみます・・」
シンの心配を背にして、ココロが鉄砲を手にする。
「あの猫さんのぬいぐるみを狙います・・猫さんを撃つのは気が進みませんが・・ゲットするためです。許してください・・」
申し訳なさそうな面持ちで呟くと、ココロは鉄砲を構えてぬいぐるみを狙う。引き金を引いて、弾を発射する。
だがうまく狙いを定めることができず、ココロの撃った弾はぬいぐるみの横や上を飛んでいくばかりだった。
「うぅ・・当たらないです・・・」
気落ちしながらも、ココロはさらに鉄砲を撃っていく。コツをつかんできたことで、彼女の撃つ球は徐々にぬいぐるみに迫ってきていた。
「もう少しです・・もう少しで猫さんに・・・!」
さらに集中するココロ。彼女が撃った弾が、ついにぬいぐるみに命中した。
「やった♪」
これでぬいぐるみが手に入ると、ココロは喜びを見せる。だがぬいぐるみは少し揺れただけで倒れることはなかった。
「あれ!?何で倒れないんですか!?」
驚きの声を上げるココロが、さらに鉄砲を撃つ。もう1発命中したが、それでもぬいぐるみは倒れない。
たまりかねたココロが、もうひとつ鉄砲を手にして同時に弾を撃つ。2発同時に当たっても、ぬいぐるみは倒れない。
「ぅぅぅぅ・・・もうっ!こうなったら!」
起こったココロが帽子に仕込んだドリルを使おうとする。
「あああ!!!ダメだああぁぁぁーーー!!!」
シンがココロに向けてとっさに、脳天直撃シンチョップを繰り出す。その一撃でドリルごと叩き伏せられたココロが、倒れて動けなくなる。
「すみません!すみません!本当に申し訳ありません!」
屋台のおじさんにひたすら謝るシン。痛恨の一撃を受けたココロは、しばらく起き上がることができず突っ伏したままだった。
それからココロとシンは神社に足を運び、お参りをしていた。
(これからも充実した大学生活を送れますように・・・)
お参りを済ませて眼を開けるシン。だがココロはまだお参りを続けていた。
(1人前のブログ妖精になれますように。料理がうまくなりますように。水泳がうまくなりますように。空が飛べるようになれますように。もっともっとメロンソーダが飲めますように。それからそれから・・)
「ちょっと、ココロちゃん・・・?」
シンに声をかけられて、ココロが我に返る。
「あの、シンさん・・ココロ、まだ終わっていないです・・」
「ココロちゃん・・そんなに願掛けしても全部は叶わないって・・」
言いかけるココロに困り顔を見せるシン。
「そうなんですか・・・ですがココロ、これだけは叶えてほしいと思っています・・」
「えっ?それは何かな?」
「それは・・いえないです・・・」
訊ねるシンに対し、ココロが頬を赤らめてはぐらかす。
(シンさんといつまでも一緒にいられますように・・・恥ずかしくて、とてもシンさんのまえでは言えません・・・)
心の中で自分の願いを口にするココロ。その願いをシンに直接伝えられるのは、いつになることやら。
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