ココロといっぱい #11「ココロのパン屋」
ココロSS第11話。
今回はパン缶によるパン屋の話です。
今回はパン缶によるパン屋の話です。
ここ近年話題となっている食べ物缶。
元々は非常食として生産されているものだが、流行に乗ったことで常食のひとつに数えられるようになった。
おでん、ラーメン、パンなど、種類も豊富になってきた。
ココロは、そんな食べ物缶に注目して、ある決断をした。
「えっ!?パン屋を始める!?」
ココロが切り出した言葉に、シンが驚きの声を上げる。
ココロは買い物の途中、町に立ち並ぶパン屋を眼にする。そこのパンの香りと美味しさに魅入られた彼女は、何とパン屋を開くと言い出したのである。
「いきなり何を言い出すんだい、ココロちゃん!?パン屋なんてそんな簡単に・・!」
「やれます!ココロ、もう決めました!パン作りの本も買いましたし、出店ぐらいなら問題ないです♪」
反論するシンだが、ココロの決心は固かった。彼女は既に開店のプランを練り上げていた。
「それでも材料や機具をそろえるだけでもお金がかかるんだよ!それでもやるっていうの!?」
「その点はクリアしています。後は準備して売り出すだけです。」
さらに問い詰めるシンだが、ココロは抜かりはないと発言している。だがこれまで彼女と生活をともにしてきたシンは、その中での彼女の言動などから、何か波乱が起きると不安になっていた。
それから1日の準備期間を置いて、ココロは出店によるパン屋の開店に踏み切った。そのパンも「パンの缶詰」という形で売り出すことにした。
パンの味はいちご、チョコレート、ミルクの3種類。缶にはココロのイラストが描かれており、味によってその絵柄が異なっている。
ココロは持ち前のかわいさとスマイルで、客寄せを試みる。これにより、何人かが店を訪れてはパンを買っていったが、その客足がしばらくすると途絶えてしまった。
「どうしたのでしょう・・これだけのサービスが盛り込まれているのに、全然売れ行きが悪いです・・・」
徐々に気まずくなっていくココロ。そこへシンが慌しく駆け込んできた。
「ココロちゃん、大変だ!とんでもない噂が流れてる!」
「シンさん?」
シンの言葉にココロが疑問符を浮かべる。
シンが耳にした噂は、ココロの売り出している缶にはパン以外に何か入っているのではないかというものだった。ココロはアリや蛾など、食材にはとてもできないものを食材として扱い、ブログ妖精界の常食としている。そのためにパン缶の中にもそういったものが混じっているのではないかという、風の噂や都市伝説が生まれていたのである。
最近の食品事情は非情に厳しい。異物混入や偽造が大きな原因となっている。ひとつの食品にそういった事件が起こると、その会社の全ての食品でさえ疑われることが少なくない。
ココロがパン缶に何か仕込んでいるのではないか。その疑問が客足を止めてしまっていた。
「うぅ・・そんなつもりなんて全然ないんですが・・・」
その噂に対して気まずくなるココロ。
「今までそういうことをするから、いらぬ疑いをかけられるんだよ・・・」
「シンさんに注意されてからは入れてませんよ・・・」
シンに苦言を呈されて、ココロがさらに気まずくなる。
「とにかくこの問題を何とかしないと・・これじゃ売ることもできない・・・」
深刻さを拭えずにいるシン。しばらく考えたところで、彼は妙案を練り上げた。
「こうなったら実践あるのみ!みんなの前で食してみるんだ!」
「えっ!?食べるんですか、パンを!?」
その提案にココロが驚きの声を上げる。
「ですが売り物のパンをココロたちが食べるわけには・・・!」
「こうでもしないと、みんな安心して買って食べてくれないよ。僕たちが食べて安全を確かめるのが最も分かりやすくていい。」
「でもやっぱりココロたちが食べるわけには・・・」
「それともココロちゃんはこのままパンが売れなくてもいいのかなぁ?もしかしてパン缶にパン以外の何かが入っているんじゃ・・」
「そんなことないです!・・分かりました!ココロ、みんなの前で試食してみせます!」
シンの言葉を受け入れて、ココロも意を決した。
「みなさーん♪ココロのパンは美味しいですよー♪」
ココロが呼びかけると、周囲の人々が再び注目する。
「ミルク味、いちご味、チョコレート味。馴染みの味を缶に詰めてみました。もちろん安全は保障済みです。」
ココロはそういうと、パン缶のひとつを開けてひとかけらを口に入れる。その美味しさを噛み締めて、周囲にアピールする。
「うんっ♪とってもおいしいです♪このおいしさをみなさんにも分けてあげたいです♪」
「・・・オレ、ひとつ買ってみようかな・・・」
「僕もちょっと試してみよう・・・」
ココロの振る舞いを見て、客の何人かが興味を示してきた。ココロのパン缶を購入すると、近くで缶を開けてパンを口にする。
「ホントだ!美味しいぞ!」
「何であんなおかしなこと、信じちゃったんだろう・・」
パンを食べた人たちが感嘆の声を上げる。その反応を見て、シンが安堵を覚える。
「ふぅ・・何とか問題は解消されたみたいだ・・・」
「よかったです♪この調子でどんどん売っていきますね♪」
ココロも笑顔を取り戻して、パン缶の販売に精を出していく。
「さて、僕も売り上げに貢献するとするかな・・」
シンもココロのために、パン缶をひとつ購入することにした。
ココロとシンの機転で、パン缶の売り上げを一気に上げることができた。今後の販売も順調に進むかと思われた。
ところがその翌朝、とんでもないことが発覚した。
「ココロちゃん・・・何をやっているんだ・・・!?」
シンはその光景に愕然となった。売り物であるはずのパン缶の大半を、ココロが食べてしまったのである。
「パフォーマンスのときに食べたパンの美味しさがたまらなくなって・・その味を噛み締めておこうと思ったら・・つい・・・」
事情を説明して照れ笑いを浮かべるココロ。しかしそれでシンが納得するはずがなかった。
「噛み締めすぎだ!どうするんだよ!?販売できないって!」
「うぅ・・すぐに作ってそろえます・・・」
怒鳴りかけるシンに、ココロが気まずさを膨らませて答える。
結局1日目の収益は、ココロが食べたパン缶の穴埋めに使われることになってしまった。
元々は非常食として生産されているものだが、流行に乗ったことで常食のひとつに数えられるようになった。
おでん、ラーメン、パンなど、種類も豊富になってきた。
ココロは、そんな食べ物缶に注目して、ある決断をした。
「えっ!?パン屋を始める!?」
ココロが切り出した言葉に、シンが驚きの声を上げる。
ココロは買い物の途中、町に立ち並ぶパン屋を眼にする。そこのパンの香りと美味しさに魅入られた彼女は、何とパン屋を開くと言い出したのである。
「いきなり何を言い出すんだい、ココロちゃん!?パン屋なんてそんな簡単に・・!」
「やれます!ココロ、もう決めました!パン作りの本も買いましたし、出店ぐらいなら問題ないです♪」
反論するシンだが、ココロの決心は固かった。彼女は既に開店のプランを練り上げていた。
「それでも材料や機具をそろえるだけでもお金がかかるんだよ!それでもやるっていうの!?」
「その点はクリアしています。後は準備して売り出すだけです。」
さらに問い詰めるシンだが、ココロは抜かりはないと発言している。だがこれまで彼女と生活をともにしてきたシンは、その中での彼女の言動などから、何か波乱が起きると不安になっていた。
それから1日の準備期間を置いて、ココロは出店によるパン屋の開店に踏み切った。そのパンも「パンの缶詰」という形で売り出すことにした。
パンの味はいちご、チョコレート、ミルクの3種類。缶にはココロのイラストが描かれており、味によってその絵柄が異なっている。
ココロは持ち前のかわいさとスマイルで、客寄せを試みる。これにより、何人かが店を訪れてはパンを買っていったが、その客足がしばらくすると途絶えてしまった。
「どうしたのでしょう・・これだけのサービスが盛り込まれているのに、全然売れ行きが悪いです・・・」
徐々に気まずくなっていくココロ。そこへシンが慌しく駆け込んできた。
「ココロちゃん、大変だ!とんでもない噂が流れてる!」
「シンさん?」
シンの言葉にココロが疑問符を浮かべる。
シンが耳にした噂は、ココロの売り出している缶にはパン以外に何か入っているのではないかというものだった。ココロはアリや蛾など、食材にはとてもできないものを食材として扱い、ブログ妖精界の常食としている。そのためにパン缶の中にもそういったものが混じっているのではないかという、風の噂や都市伝説が生まれていたのである。
最近の食品事情は非情に厳しい。異物混入や偽造が大きな原因となっている。ひとつの食品にそういった事件が起こると、その会社の全ての食品でさえ疑われることが少なくない。
ココロがパン缶に何か仕込んでいるのではないか。その疑問が客足を止めてしまっていた。
「うぅ・・そんなつもりなんて全然ないんですが・・・」
その噂に対して気まずくなるココロ。
「今までそういうことをするから、いらぬ疑いをかけられるんだよ・・・」
「シンさんに注意されてからは入れてませんよ・・・」
シンに苦言を呈されて、ココロがさらに気まずくなる。
「とにかくこの問題を何とかしないと・・これじゃ売ることもできない・・・」
深刻さを拭えずにいるシン。しばらく考えたところで、彼は妙案を練り上げた。
「こうなったら実践あるのみ!みんなの前で食してみるんだ!」
「えっ!?食べるんですか、パンを!?」
その提案にココロが驚きの声を上げる。
「ですが売り物のパンをココロたちが食べるわけには・・・!」
「こうでもしないと、みんな安心して買って食べてくれないよ。僕たちが食べて安全を確かめるのが最も分かりやすくていい。」
「でもやっぱりココロたちが食べるわけには・・・」
「それともココロちゃんはこのままパンが売れなくてもいいのかなぁ?もしかしてパン缶にパン以外の何かが入っているんじゃ・・」
「そんなことないです!・・分かりました!ココロ、みんなの前で試食してみせます!」
シンの言葉を受け入れて、ココロも意を決した。
「みなさーん♪ココロのパンは美味しいですよー♪」
ココロが呼びかけると、周囲の人々が再び注目する。
「ミルク味、いちご味、チョコレート味。馴染みの味を缶に詰めてみました。もちろん安全は保障済みです。」
ココロはそういうと、パン缶のひとつを開けてひとかけらを口に入れる。その美味しさを噛み締めて、周囲にアピールする。
「うんっ♪とってもおいしいです♪このおいしさをみなさんにも分けてあげたいです♪」
「・・・オレ、ひとつ買ってみようかな・・・」
「僕もちょっと試してみよう・・・」
ココロの振る舞いを見て、客の何人かが興味を示してきた。ココロのパン缶を購入すると、近くで缶を開けてパンを口にする。
「ホントだ!美味しいぞ!」
「何であんなおかしなこと、信じちゃったんだろう・・」
パンを食べた人たちが感嘆の声を上げる。その反応を見て、シンが安堵を覚える。
「ふぅ・・何とか問題は解消されたみたいだ・・・」
「よかったです♪この調子でどんどん売っていきますね♪」
ココロも笑顔を取り戻して、パン缶の販売に精を出していく。
「さて、僕も売り上げに貢献するとするかな・・」
シンもココロのために、パン缶をひとつ購入することにした。
ココロとシンの機転で、パン缶の売り上げを一気に上げることができた。今後の販売も順調に進むかと思われた。
ところがその翌朝、とんでもないことが発覚した。
「ココロちゃん・・・何をやっているんだ・・・!?」
シンはその光景に愕然となった。売り物であるはずのパン缶の大半を、ココロが食べてしまったのである。
「パフォーマンスのときに食べたパンの美味しさがたまらなくなって・・その味を噛み締めておこうと思ったら・・つい・・・」
事情を説明して照れ笑いを浮かべるココロ。しかしそれでシンが納得するはずがなかった。
「噛み締めすぎだ!どうするんだよ!?販売できないって!」
「うぅ・・すぐに作ってそろえます・・・」
怒鳴りかけるシンに、ココロが気まずさを膨らませて答える。
結局1日目の収益は、ココロが食べたパン缶の穴埋めに使われることになってしまった。
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