ココロといっぱい #12「ココロのパン屋(その2)」
ココロSSの第12話。
今回はパン屋の話の続きです。
今回はパン屋の話の続きです。
パン缶を売り出したココロ。味とスマイルで、彼女は客をどんどん呼び込んでいた。
夜間にパン缶を食べつくさないようにとシンに見張られたことが功を奏し、ココロは売り上げ損失をさけることができた。
この調子で利益が積み重なっていくと、ココロもシンも思っていた。
だがある日、突如パン缶の売り上げが伸び悩み出した。
「うぅ・・どうしてしまったのでしょう・・・?」
山になっている売り上げのグラフを見て、ココロが落ち込む。
「おかしいよね・・パンのチェックも怠りなし。売り込みも成果を上げている。売り上げが下がるなんてことはないはずなのに・・・」
シンも考え込むが、原因が思い当たらない。
「明日は様子を見てみよう。何か分かるかもしれないから・・」
「分かりました。ココロは販売を続けますので、シンさん、お願いします。」
シンの考えにココロが頷く。状況分析は翌日に持ち越されることになった。
そして翌日。いつものようにパン缶の販売に精を出すココロ。
そんな彼女に、シンが血相を変えて駆け込んできた。
「ココロちゃん、大変だ!むーちゃんが!」
「えっ!?」
シンがかけた言葉に、ココロが驚きの声を上げた。
パン缶を売り出したことで収入を高め、さらに人気も上げていたココロ。そんな彼女をむーちゃんは妬み、対抗策を練り上げていた。
そこで彼女が打ち出した妙案。それはココロが売っているパン缶に対抗した「ご飯缶」だった。
しかも単なる白ご飯の缶詰ではない。チャーハンやカレー、牛丼など、バリエーションは豊富になっていた。
保存用として活用する缶詰食品。保存管理の厳しいご飯類を缶詰にするのもまた厳しい。
だがこの意表を突いた戦略とご飯の美味しさが功を奏し、予想外の人気を博していた。
「人間は意外性というものを求めてるそうだからね。利用しない手はないってものよ。」
売れ行きのよくなっていくご飯缶に、満足げなむーちゃんだった。
そんなむーちゃんの店の話題を、シンも耳にすることになった。
「こ、こ、これは大変なことになってしまった・・・!」
この事態にシンが慌てふためき、ココロのところに駆けつけていった。その様子をむーちゃんの使い魔たちが目撃していた。
(勝たせてもらうわよ、ココロ。アンタの命運もこれでおしまいよ。フフフフフ・・)
丁寧な接客を行う一方で、むーちゃんは心の中でココロに対して勝ち誇っていた。
「まさか、むーちゃんがそんなことを・・・」
シンから話を聞いて、ココロが困惑する。
「とんだライバルが出てきたもんだよ・・まさかむーちゃんも店を出してくるなんて・・」
シンはむーちゃんの行動に困惑していた。
「やっぱり出方を伺って、こっちも策を練ったほうがいいと思うんだけど・・」
「おいしそうですね、ご飯缶・・しかもむーちゃんが売り出しているなら、食べないわけにはいきません!」
打開の糸口を探るシンをよそに、ココロが歓喜の声を上げる。
「ちょっとココロちゃん、何を言って・・・?」
「シンさん、少しお留守番をお願いします!ココロはむーちゃんのお店に行ってきます!」
唖然となるシンに呼びかけると、ココロはそそくさに店を飛び出してしまった。
「ちょっと、ココロちゃん!」
シンが呼びかけるが、ココロが止まることはなかった。
「どうするんだよ・・ココロちゃんあってのパン屋じゃないか・・・」
深く気落ちして、シンが肩を落としていた。
その頃、むーちゃんは順調にご飯缶を販売していた。売り上げはうなぎ上り。見て取れる業績に、彼女は歓喜を覚えていた。
「慌てないでくださいねー♪まだまだありますからー♪」
むーちゃんがスマイルを見せて、客寄せを行っていく。
「むーちゃーん!」
そこへその客の列を押しのけて、ココロが飛び込んできた。彼女の登場にむーちゃんが驚く。
「コ、ココロ!?アンタ、パン屋はどうしたのよ!?」
「だってだって!むーちゃんがご飯缶を売り出したじゃないですか!食べないわけにいきません!」
言い放つココロに、むーちゃんが動揺をあらわにする。ココロが自分が売り出しているご飯缶を食べに来るとは思っていなかったのだ。
「とりあえず各種類を10個ずつ!・・あ、シンさんの分も買ってあげないと・・」
「ちょっと待ちなさいよ!あたしはアンタの邪魔をするために、こうしてお店を開いてるの!敵に塩を送るマネをしてどうすんのよ!?」
ココロの行動に納得がいかず、むーちゃんが怒鳴る。だがココロはその態度に疑問符を浮かべる。
「敵?塩?何のことですか?せっかくむーちゃんもお店を開いたんですから、売り上げに貢献するのがお友達というものです♪」
「だからあたしとアンタは友達じゃないの!営業の邪魔よ!すぐにここから離れないと、アンタの頭に槍を刺すわよ・・・!」
むーちゃんがココロに忠告を送ろうとしたときだった。既にココロがご飯缶のほとんどを買いあさり、必要分の代金を置いて立ち去っていた。
「ココロ・・相変わらず食い意地が張ってるんだから・・・とにかく・・・」
ココロに呆れるも、むーちゃんは彼女が置いていったお金を見て笑みを浮かべる。
「これは思わぬ収穫だったようね・・・」
予想外の収益に、むーちゃんは胸を躍らせていた。
ご飯缶を買うためにココロが費やしたお金は、パン缶を売って得た売り上げだった。またしても売り上げをムダにする行為を行った彼女は、シンに脳天直撃シンチョップを叩き込まれる羽目になった。
その後、何とかパン缶を売り切って、売り上げのノルマに達するに至った。
一方、むーちゃんは順調のまま、今日の販売を終了した。ココロが購入したのが功を奏し、ご飯缶の売り上げは大きな成果となっていた。
「ココロに負けてたまるかと思ってやらかしたことなのに、まさかそのココロに助けられることになるなんてね・・」
むーちゃんは煮え切らない気分を感じていた。
「たまにはココロのためになることでもするかな・・・」
むーちゃんはそういうと、そのお金を持って歩き出した。彼女は気落ちしているココロの前に現れた。
「むーちゃん・・・?」
「アンタのところのパン缶、1種類ずつもらうわよ。」
きょとんとするココロに、むーちゃんが強気な態度を見せて注文をしてきた。
「・・は、早くしてよね。あたしがわざわざ、アンタのパン缶を買いに来てあげてるんだから。」
「むーちゃん・・・」
気恥ずかしさを見せるむーちゃんに、ココロが戸惑いを覚える。だがすぐに喜びの笑顔を見せる。
「ありがとう、むーちゃん♪やっぱりむーちゃんは優しいんだね♪」
「か、勘違いしないでよね。アンタに買ってもらうだけじゃ後味が悪いからね。これで貸し借りなしよ。」
感謝するココロに、むーちゃんが突っ張った態度を見せた。彼女はココロからパン缶を買って、そそくさに帰っていった。
「やれやれ。どういうやり取りなんだ・・・」
2人の様子を見て、シンは呆れていた。
こうしてココロとむーちゃんの販売は終了した。しかし人気のうなぎ上りにより、2人が再び店を開く日も、遠い話ではないだろう。
夜間にパン缶を食べつくさないようにとシンに見張られたことが功を奏し、ココロは売り上げ損失をさけることができた。
この調子で利益が積み重なっていくと、ココロもシンも思っていた。
だがある日、突如パン缶の売り上げが伸び悩み出した。
「うぅ・・どうしてしまったのでしょう・・・?」
山になっている売り上げのグラフを見て、ココロが落ち込む。
「おかしいよね・・パンのチェックも怠りなし。売り込みも成果を上げている。売り上げが下がるなんてことはないはずなのに・・・」
シンも考え込むが、原因が思い当たらない。
「明日は様子を見てみよう。何か分かるかもしれないから・・」
「分かりました。ココロは販売を続けますので、シンさん、お願いします。」
シンの考えにココロが頷く。状況分析は翌日に持ち越されることになった。
そして翌日。いつものようにパン缶の販売に精を出すココロ。
そんな彼女に、シンが血相を変えて駆け込んできた。
「ココロちゃん、大変だ!むーちゃんが!」
「えっ!?」
シンがかけた言葉に、ココロが驚きの声を上げた。
パン缶を売り出したことで収入を高め、さらに人気も上げていたココロ。そんな彼女をむーちゃんは妬み、対抗策を練り上げていた。
そこで彼女が打ち出した妙案。それはココロが売っているパン缶に対抗した「ご飯缶」だった。
しかも単なる白ご飯の缶詰ではない。チャーハンやカレー、牛丼など、バリエーションは豊富になっていた。
保存用として活用する缶詰食品。保存管理の厳しいご飯類を缶詰にするのもまた厳しい。
だがこの意表を突いた戦略とご飯の美味しさが功を奏し、予想外の人気を博していた。
「人間は意外性というものを求めてるそうだからね。利用しない手はないってものよ。」
売れ行きのよくなっていくご飯缶に、満足げなむーちゃんだった。
そんなむーちゃんの店の話題を、シンも耳にすることになった。
「こ、こ、これは大変なことになってしまった・・・!」
この事態にシンが慌てふためき、ココロのところに駆けつけていった。その様子をむーちゃんの使い魔たちが目撃していた。
(勝たせてもらうわよ、ココロ。アンタの命運もこれでおしまいよ。フフフフフ・・)
丁寧な接客を行う一方で、むーちゃんは心の中でココロに対して勝ち誇っていた。
「まさか、むーちゃんがそんなことを・・・」
シンから話を聞いて、ココロが困惑する。
「とんだライバルが出てきたもんだよ・・まさかむーちゃんも店を出してくるなんて・・」
シンはむーちゃんの行動に困惑していた。
「やっぱり出方を伺って、こっちも策を練ったほうがいいと思うんだけど・・」
「おいしそうですね、ご飯缶・・しかもむーちゃんが売り出しているなら、食べないわけにはいきません!」
打開の糸口を探るシンをよそに、ココロが歓喜の声を上げる。
「ちょっとココロちゃん、何を言って・・・?」
「シンさん、少しお留守番をお願いします!ココロはむーちゃんのお店に行ってきます!」
唖然となるシンに呼びかけると、ココロはそそくさに店を飛び出してしまった。
「ちょっと、ココロちゃん!」
シンが呼びかけるが、ココロが止まることはなかった。
「どうするんだよ・・ココロちゃんあってのパン屋じゃないか・・・」
深く気落ちして、シンが肩を落としていた。
その頃、むーちゃんは順調にご飯缶を販売していた。売り上げはうなぎ上り。見て取れる業績に、彼女は歓喜を覚えていた。
「慌てないでくださいねー♪まだまだありますからー♪」
むーちゃんがスマイルを見せて、客寄せを行っていく。
「むーちゃーん!」
そこへその客の列を押しのけて、ココロが飛び込んできた。彼女の登場にむーちゃんが驚く。
「コ、ココロ!?アンタ、パン屋はどうしたのよ!?」
「だってだって!むーちゃんがご飯缶を売り出したじゃないですか!食べないわけにいきません!」
言い放つココロに、むーちゃんが動揺をあらわにする。ココロが自分が売り出しているご飯缶を食べに来るとは思っていなかったのだ。
「とりあえず各種類を10個ずつ!・・あ、シンさんの分も買ってあげないと・・」
「ちょっと待ちなさいよ!あたしはアンタの邪魔をするために、こうしてお店を開いてるの!敵に塩を送るマネをしてどうすんのよ!?」
ココロの行動に納得がいかず、むーちゃんが怒鳴る。だがココロはその態度に疑問符を浮かべる。
「敵?塩?何のことですか?せっかくむーちゃんもお店を開いたんですから、売り上げに貢献するのがお友達というものです♪」
「だからあたしとアンタは友達じゃないの!営業の邪魔よ!すぐにここから離れないと、アンタの頭に槍を刺すわよ・・・!」
むーちゃんがココロに忠告を送ろうとしたときだった。既にココロがご飯缶のほとんどを買いあさり、必要分の代金を置いて立ち去っていた。
「ココロ・・相変わらず食い意地が張ってるんだから・・・とにかく・・・」
ココロに呆れるも、むーちゃんは彼女が置いていったお金を見て笑みを浮かべる。
「これは思わぬ収穫だったようね・・・」
予想外の収益に、むーちゃんは胸を躍らせていた。
ご飯缶を買うためにココロが費やしたお金は、パン缶を売って得た売り上げだった。またしても売り上げをムダにする行為を行った彼女は、シンに脳天直撃シンチョップを叩き込まれる羽目になった。
その後、何とかパン缶を売り切って、売り上げのノルマに達するに至った。
一方、むーちゃんは順調のまま、今日の販売を終了した。ココロが購入したのが功を奏し、ご飯缶の売り上げは大きな成果となっていた。
「ココロに負けてたまるかと思ってやらかしたことなのに、まさかそのココロに助けられることになるなんてね・・」
むーちゃんは煮え切らない気分を感じていた。
「たまにはココロのためになることでもするかな・・・」
むーちゃんはそういうと、そのお金を持って歩き出した。彼女は気落ちしているココロの前に現れた。
「むーちゃん・・・?」
「アンタのところのパン缶、1種類ずつもらうわよ。」
きょとんとするココロに、むーちゃんが強気な態度を見せて注文をしてきた。
「・・は、早くしてよね。あたしがわざわざ、アンタのパン缶を買いに来てあげてるんだから。」
「むーちゃん・・・」
気恥ずかしさを見せるむーちゃんに、ココロが戸惑いを覚える。だがすぐに喜びの笑顔を見せる。
「ありがとう、むーちゃん♪やっぱりむーちゃんは優しいんだね♪」
「か、勘違いしないでよね。アンタに買ってもらうだけじゃ後味が悪いからね。これで貸し借りなしよ。」
感謝するココロに、むーちゃんが突っ張った態度を見せた。彼女はココロからパン缶を買って、そそくさに帰っていった。
「やれやれ。どういうやり取りなんだ・・・」
2人の様子を見て、シンは呆れていた。
こうしてココロとむーちゃんの販売は終了した。しかし人気のうなぎ上りにより、2人が再び店を開く日も、遠い話ではないだろう。
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うちも書いてみようかな。